Chang TingTong
Antone Könst
Tseng ChienYing
Wu MeiChi
Felix Treadwell
COMMON × EACH MODERN
IMAGRATION
25 Mar - 23 Apr
@ Gallery COMMON
Curated by LAN Chung-Hsuan
Each Modern
この度Gallery COMMONでは、台湾のギャラリーEach Modernとの協働による交流展「IMAGRATION」を開催いたします。
東京と台北の2箇所で開催される本展では、それぞれのギャラリーがキュレーションした現代アーティストによる、2つの展示を発表いたします。
東京のGallery COMMONでは、Lan Chung-Hsuanのキュレーションによる5人のアーティスト(チャン・ティントン、アントン・ケンスト、フェリックス・トレッドウェル、ツェン・チェンイン、ウー・メイチー)の展覧会を開催いたします。
また、台北のEach Modernでは、Gallery COMMONのキュレーションによる5人の日本人アーティスト(IKEUCHI、西祐佳里、多田圭佑、Shohei Takasaki、山本和真)の展覧会を開催いたします。
展覧会全体としては、イメージを自由に使用することとその潜在的な効果について考察しています。とりわけGallery COMMONでの展示は、ギャラリーが長年注目してきた原宿の「リミックス」文化からインスピレーションを得ています。原宿の歴史を、サブカルチャーや、ジャンルをまたがるコラボレーションを称賛する人々の集まる共同の場所として捉えながら、ラン・チュンシュアンは、原宿の価値観と共鳴する国際的なアーティストをキュレーションします。
「IMAGRATION」はこの交流を通じ、イメージの自由さと流動性、それに付随する意味の可鍛性、そして変化を続ける私たちの視覚言語における、アーティストのかけがいのない役割をめぐって、文化の垣根を越えた議論のきっかけとなることを願います。
*Each Modernで開催される展覧会の詳細は、こちらよりご確認ください。
■キュレーターより本展に寄せて
人々は長いあいだ、イメージのもつ象徴性を政治・宗教・文化と絡めて、社会状況の構築のために利用してきました。象徴化を通じて、イメージは世界のありさまを規定し、私たちがどのように行動するかを決定づけます。しかし、時代の変遷とともに、イメージの象徴性さえも少しずつ薄れていき、その根本を失い始めています。これらを情報やイメージの爆発的な普及によるものだとたやすく考えることもできますが、同時に、ポピュリズムの隆興やエリート層の崩壊に目を向けることで、もう少し微妙な差異から捉えることもできるでしょう。こうした発展は、イメージの作り手と受け手という立場を混合させました。例えば、「高級」ブランドの戦略的な美学が、ひとつのロゴを中心に展開するよう多様なイメージを排除する傾向にある一方で、他のブランドには自社商品にいくつものイメージを大量に生産します。
特にアジアのサブカルチャーは、イメージの流動性が非常に高いです。おそらくより開放的な伝統精神をもつゆえに、融合することがより重視されているのでしょう。その結果、イメージの再生産は独断的な象徴化から離れ、直感的な生きた経験に重きを置くようになった。 このようなイメージが、あらかじめ決められた定義から溢れ出すと、従来のイメージに麻痺していた一般の人々は、すぐにそれを受け入れるようだ。これはあるひとつの未来像を生み出しているでしょう。イメージによって規定されたあらゆる階級や集団が消えること、そして人間が新たな理想社会へと向かうという未来像です。
アントン・ケンスト(アメリカ)のおとぎ話のような不思議な絵画と彫刻は、国境を越え、西洋と東洋のイメージを融合させることで擬人化された感情を捉えようとしています。アーティスト本人の過去から得た視覚的な語彙は、非常に個人的でありながらもそのデザインを通じて親しみやすいものであり、精神主義・愛・ユーモア・恐怖といったテーマを再考しています。今回展示される新作の絵画は、「花」という彼のもっとも象徴的なモチーフのひとつを描いています。
ツェン・チェンイン (台湾)は、台湾の現代水墨画を代表するアーティストのひとりで、2022年12月にEach Modernで個展を開催しました。彼の質感のある筆致は、明らかに東洋的な技法ですが、東洋の伝統をそのまま受け継いでいるわけではありません。お洒落な髪型、モダンな服装、見慣れた仕草など、ツェンの絵画に登場する現代を生きる人物は、西洋的なアイコンと東洋的な神聖さの両方の特徴を備えています。過去・現在・未来をつなぐことで、普遍的な精神性を表現しようとしているのです。
フェリックス・トレッドウェル(イギリス)は、「子供らしさ」を度々絵画で表現しています。新作のポートレートは、流行りの文化的な象徴や幼少期の無垢な空想に影響されがちな若者の自己探求を題材にしています。成熟した身体に支えられた未熟な表情は、イメージの複雑なパッチワークで覆われながら、決断力と不確かさの境界をさまよっています。
ウー・メイチー(台湾)の作るイメージの制作過程は、化学実験のようです。つまり、溶解と再構築を経ることで、イメージの固有性を解釈することを放棄し、代わりに、コラージュや表象の直観的なやり方を追求しています。そうすることでウーは、コンピュータグラフィックスを触媒として破壊と内在化を行い、写真(そして自分自身)の限界を検証し、突破することができるのです。それは、自由の追求を意味するでしょう。
チャン・ティントン(台湾)によるべンタブラックのインクを使った新作の絵画2つは、2次元と3次元の空間を組み合わせ、その中にある「マルチバース(多元宇宙)」を目の当たりにするよう私たちを誘います。そこは、いくつもの異なる星団がワームホールでつながり、ひとつの共通世界を作り出しています。また、少女漫画からの少女像は、日本のみならず世界各国に浸透している日本文化の審美性を参照しています。これはある意味、イメージや文化、そしてイデオロギーが理想的に共存する一例と言えるかもしれません。
■アーティストプロフィール
アントン・ケンスト
1987年、ニューヘイブン・アメリカ生まれ。ニューヨーク州ブルックリンを拠点に活動。カリフォルニア芸術大学で美術学士号、イェール美術学校で修士号を取得。作品は米国内外で広く発表され、Each Modern(台北)、Marianne Boesky Gallery(ニューヨーク)、Tilton Gallery(ニューヨーク)、Artist Curated Projects(ロサンゼルス)、Fondation des Etats Unis(パリ)などで個展を開催。Lighthouse Works(ニューヨーク)やソクラテス彫刻公園(ニューヨーク)にコミッション・ワークとしてパブリック・アートを手掛ける。また、Anton Kern(ニューヨーク)、Beers Gallery(ロンドン)、Mrs Gallery(ニューヨーク)、Galerie Jeanroch Dard(ブリュッセル)などのグループ展にも参加。ケンストはレマ・ホート・マンによる助成とハリエット・ヘイル・ウーリーによるフェローショップの授与者でもある。
ツェン・チェンイン
1987年、台湾・南投市生まれ。国立台湾師範大学、台北国立芸術大学を卒業。近年の個展には、「Skin Depth」(2022、Each Modern/台北)、「Cacotopias」(2022、Red Gold Fine Art/台北)と「The Daydream of Delusions」(2017、Red Gold Fine Art/台北)などがあり、ほかにも「Retrograde」(2022、Galerie du Monde /香港)、「2020 Taiwan Biennial: Subzoology」(2020、国立台湾美術館/台中)のグループ展に参加しています。2020年に、第31回ゴールデン・メロディ・アワードの「最優秀賞ジャケットデザイン」にノミネートされ、2017年にはアジアン・カルチュラル・カウンシルのフェローシップの授与者になる。
フェリックス・トレッドウェル
1992年、メイドストーン・イギリス生まれ。イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで修士号を取得。近年の個展に、「Tiny Delicate World」(2023、The Hole/ニューヨーク)、「Kindred Lands」(2022、Carl Kostyal/ストックホーム)、「Gentle Creatures」(2022、Woaw Gallery/台北)、「Dominion」(2021、Dopeness Art Lab/台北)、 「Buff Titan」(2021、L21 GALLERY/Palma)、「Little Dark Fantasy」(2019、Union Gallery/ロンドン)、「Community」(2019、LTD Los Angeles/ロサンゼルス)、「Dark Age」(2018、L21 Galler/パルマ・デ・マヨルカ)、「Rupert and Friends」(2017、Union Gallery/ロンドン)などがある。 日本、オランダ、ドイツ、ベルギー、イタリア、フランスなど、国際的にグループ展に参加している。
ウー・メイチー
1989年、台南・台湾生まれ。台湾の国立高雄大学を卒業し、伝統工芸とクリエイティブ・デザインを専攻。近年の個展には、「Picnic」(2020、pon ding/台北)、「YXX - The Flares」(2019、Each Modern/台北)、「XYX - A Moveable Feast」(2018、VVG/台北)、「XXY - The Space of Things」(2016、NEPO Gallery/台北)がある。国際的なアートフェアにも数多く出展し、その中にはアートフェア東京、Taipei Dangdai (台北當代)、ONE ART Taipei、West Bund Art & Design Fair、代官山フォトフェア、fotofeverなどが含まれる。作品はアートバンク台湾にも収蔵されている。
チャン・ティントン
1982年、台北・台湾生まれ。2011年にロンドン大学ゴールドスミス校で修士号を取得。台北とスペインのサンティアゴ・デ・コンポステラを拠点に活動。台北のNTUE美術館と台北市立美術館で個展を開催し、グループ展、およびコミッションワークには広州トリエンナーレ、済州ビエンナーレ、台北ビエンナーレ、山口情報芸術センター、コンプトン・バーニー・アート・ギャラリー、ウェルカムトラストなどで行っている。主な受賞歴に、第19回台新芸術賞、台北芸術賞2020、香港アートセントラルRISE賞2016、VIA芸術賞2016、王立彫刻家協会バーサリー賞2015などがある。作品は台北市立美術館、アートバンク、香港基金、ブラジル大使館(在ロンドン)、そしてヨーロッパとアジア各地の個人コレクションで公開・収蔵されている。
■キュレータープロフィール
ラン・チュンシュアン
1991年、台北・台湾生まれ。ニューヨークのプラット・インスティテュートで美術の修士号を取得。芸術活動のほか、キュレーション、アートマーケット、美術教育にも携わる。これまでにEach Modern(台北)、for Storyteller(台北)、Gagosian Gallery(ニューヨーク)、Baxter St at CCNY(ニューヨーク)などの経歴がある。また、3331 Arts Chiyoda(東京)、Arteles Creative Center(フィンランド)などでのレジデンスに参加。近年のキュレーションには、「Living Naked」(2022、国立新竹生活芸術センター/オンライン)、「There are still flowers on the deserted island」(2021、国立新竹生活芸術センター/オンライン)、そしてグループ展「PROVOKE - Opposing Centrism」(2021、關渡美術館)にキュレーターチームとして参加。他にも、ONFOTOでの6つの展示(2019 - 2020)、特設グループ展「Inborn Site」(2019)、個展「Anna Yun-Ching Han: Butterfly」(2018、NEPO Gallery)、オランダ人アーティストのヨーレンス・ヴァン・デン・フーゲン(Yolenth van den Hoogen)の写真プロジェクト「Tuonela Gate」(2017)にも携わっている。
IMAGRATION @ Gallery COMMON
2023.03.25 - 04.23
Opening reception: 2023.03.24, 7-9PM @ Gallery COMMON, Tokyo, Japan
Artists: Chang TingTong / Antone Könst / Tseng ChienYing / Wu MeiChi / Felix Treadwell
Curated by Lan Chung-Hsuan and Each Modern
IMAGRATION @ EACH MODERN
2023.04.06 - 04.29
Opening reception: 2023.04.08, 5-7 PM @ Each Modern, Taipei, Taiwan
Artists: IKEUCHI / Yukari Nishi / Keisuke Tada / Shohei Takasaki / Kazuma Yamamoto
Curated by Gallery COMMON