
Index #7
19 Aug–17 Sep 20231978年生まれ、西宮市在住。京都芸術大学を卒業後、2004年から国内外のギャラリーやアートフェアにて絵画やミクストメディア作品を発表してきた西祐佳里。
ペインティングに見られるシュールリアリズムは、理想化されたミッドセンチュリーアメリカのノスタルジーを感じさせる。 顔のない人物、感情のないぬいぐるみ、平静な動物達が、西の世界の牧歌的な風景を彩る。その夢のような環境は、好奇心と不快感を掻き立て、光と影のドラマチックな要素や、安全で快適な家庭内の空間におけるまとまりや意味の予期せぬ喪失は、不条理、ニヒリズム、パラノイアといったネオ・ノワールのテーマを想起させる。西の作品は、彼女の周りのメディアから引き出されたイメージの集合体であり、それは戦後日本の圧倒的な西洋化と、その結果として日本人の意識の中に組み込まれている作られた偽物のノスタルジアを反映しています。 西は、作品を通して、文化が単一のフラット化された普遍的な記憶の中に組み込まれていくことによる、文化自体からの疎外感を問いかけ、匿名の非人間的な人物を描くことで、ますます個人主義的で過剰に接続された社会の中で、物の意味や自己意識が失われていく様子を表現しています。 西の作品は、思い込みや慣習を捨て、現実と虚構の間にある四次元の世界に入り込み、何が現実で何が現実でないのか、私たち自身の認識を再考させてくれます。