70〜80年代の欧米メディアに映る場面を中心にコラージュした西の作品には、アメリカのレトロなテレビ番組のような奇妙なキャラクターたちが登場します。色あせた花柄の壁紙や毛足の長いシャグカーペット、広いキッチンカウンターは、畳や座布団、破れた障子といった日本のノスタルジーな集団記憶と対照的な描写であり、テディベアやハンバーガーの頭部を持つキャラクターたちが暮らすこの世界と日本とのコントラストをエキゾチックに描き出しています。つまり、西が描くキャラクターたちの生きる舞台は、慣れ親しんだ日本の家庭ではなく、むしろメディアで語られる空想的な「幸せなアメリカの家庭」なのです。