Rose Salane, Ichi Tashiro, Minh Lan Tran
Fault Lines
8 Aug–14 Sep 2025

Rose Salane, Ichi Tashiro, Minh Lan Tran
Fault Lines
8 Aug–14 Sep 2025
Gallery Commonは、イチ・タシロ、ミン・ラン・トラン、ローズ・サレーヌによるグループ展「Fault Lines」を開催いたします。イチ・タシロがアーティスト兼キュレーターとして初めて企画する本展は、2025年8月8日(金)から9月7日(日)まで開催いたします。
「断層線」を意味する「Fault Lines」というタイトルは、地質学的な亀裂を連想させると同時に、文化、技術、感情に刻まれた比喩的な裂け目をも想起させます。本展に参加する3名のアーティスト──イチ・タシロ、ミン・ラン・トラン、ローズ・サレーヌ──は、身体、記憶、テクノロジーといったシステムが破綻したときに、どのような痕跡や物語が露わになるのかを探求します。絵画、彫刻、映像といったメディアを通して、それぞれの作品は表層をしきい値として扱い、そこにトラウマ、記憶、変容が現れていくプロセスを描き出します。素材を切断し、焼き、集め、再構成するといった行為を通じて、記憶や意味が物質にどのように染み込み、それが時間や歴史、喪失を経てどのように変化していくのかを可視化します。これらの“断層線”は単なる破綻のしるしではなく、記憶が浮上し、つながりが生まれ、癒しが始まる「場」として現れてきます。
イチ・タシロは、平面上での素材実験と重層化、加算的・減算的プロセスの相互作用を軸とした制作を行っています。最新のシリーズでは、油彩で塗られた木製パネルの上に複数枚のキャンバスを重ね、それを彫り込み、焼き焦がし、直感的なリズムで刻むことによって作品を構築しています。これらの表面はイメージとしてではなく、身体的・感情的な共鳴の「場」として機能します。皮膚のように扱われる表層を切り裂くことで、色彩や質感、記憶の層が現れてきます。破壊の象徴として語られることの多い「火」は、タシロの手の中で、焼灼、浄化、再生のための手段となり、暴力ではなく変容を介して表面に再び入り込む術となります。